第5話

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第5話

増原信夫は中学に通いながら… 殺し屋のテクニックを磨いている。 探偵の富田林弘太郎はアチコチの雑誌やネットの片隅に『人殺し 承ります』として連絡を待つ。 増原は富田林に応援を頼まれる。 「ノブちゃん、だいぶ腕を上げたんじゃないか? 実はな、依頼が集中してきて… 2~3件引き受けてほしいんだけど……?」 「殺しですか?…… 」 信夫はスナイパーとしての雰囲気を醸し出す…。 「ああ……血も涙も無い悪の権化みたいな奴等ばかりさ ……きっとノブちゃんの良心も痛まないだろう……。」 「分かりました……。」 増原信夫は分解していた狙撃用ライフルを組み立てて、ギターケースの中に突っ込んだ。 「携帯にも送っといたけど… ターゲットは織礼輪留太(おれ わるた)、詐欺グループのリーダーだ。爪の先に灯をともすように貯めてきた老人の年金を食い荒らしている。自殺者多数、宜しく頼む。」 信夫は ホテル ニューオータニ・イン・横浜プレミアムの向かいのビルから狙いを定める…。 風を計算し…ターゲットを確認… 照準を合わせる…撃つ。 やると心が決まれば…あとは流れ作業だ…。 現場を離れて携帯を確認する…。 『ナイスシュート! 依頼人から礼を言ってきたよ、報酬も2倍にしてくれた。感謝する。』 「フッ……。 やっちまったな…。」 信夫は小さく溜め息を吐く。 架空の口座を作ってくれた。 振り込まれた金額は1000万… 中学生の小遣いにしにゃあケタが違う。 富田林から用意されたホテルに宿泊する。 ベッドに寝転んでいると 『静香はどうしているだろう?』 と気持ちがいった…。 何事も無かったように…地球のどこかで暮らしていてほしい。 阿久野 夏霧は少年院へ行ったが…… 数年経って出てきたら、ちゃんと更正してるだろうか? そうでなければ俺がヤル…。 必ずヤってやるから……。 「静香……。」 悔しくて涙が出た。
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