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今の俺
あんな手紙を見た後に、仕事に向かうのは気が引けるが仕方ない…生きる為だ
窓を見れば墨のように真っ黒な空で月すらも出ていない
…絶好の仕事日和だ
空と同じく真っ黒のジャンパーに帽子で外へと出る
手には_____を持って。
息を大きく吸い込むとやけに冷たい空気が肺を満たした。それはまるで冷静になれとでも言っているかの様な気がした。
でも、やるしかないんだ。それが俺の仕事だから。
仕事へ向かう途中、犬に出会う。
威嚇するように此方を見てきたが睨み返せば尻尾を巻いて去っていった。
犬に優しかったのは過去の事。今じゃ金の為なら優しさなんか簡単に捨てる奴になってしまった。
…着いた、ここだ
怯えた表情の男に手に持つアレを向ける
「依頼があった」
それだけ言って、引き金を引いた。
いとも簡単に後ろに倒れる男。初めは緊張したが今となっては事務作業位にしか思えなくなっていた。
黒い服は鮮血に染まってしまった。
汚いな…さっさと風呂に入ってしまおう。
風呂へと入り、もう一度手紙を掴む。
真っ白な便箋も今の俺が持つと赤黒く見えてしまう。
少し拙い字で素直に書かれたその文章に、背いた職に就いたのはいつ頃からだろうか?
もう、思い出せない
思い出したくもないな
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