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何も明星街に足を踏み入れる必要はなかったのではないか、と周りの者は口々に言った。だが、どこの闇医者を巡っても、人間の眼球など――ましてや、私の娘は体質持ちである。血液型がどうであるとか、適性がどうでるかというよりも、これだけが難題であった。
金を積んでも手に入らないものは、明星街にある。
そんな言葉を信用したわけではない――少なくとも、ここに来るまでは、そうだった。だが実際に足を踏み入れて、噂というものも時には当たることを知った。
人間が売っている。体質を持った人間が住んでいる。危険と隣り合わせであることは否めないが、ハイリスクハイリターン、十分すぎる利益は目に見えていた。
私はざっと地下カジノのゲームを見て回っていた。バカラ、ルーレット、ブラックジャック、ポーカー、ファンタンなど、大抵のゲームはあった。奥の方にはビリヤードと、更に地下に続く階段。時折何か粘度の高い音がかすかに聞こえてくるのは、私以外の客も気づいているはずだ。
支配人を名乗るロドルという男は、人間の眼球くらいいくらでもある、と言っていた。もちろん、体質者のパーツも。チップ換算で何千万枚、現金換算で何億――。国家機密の情報に比べれば安いものだ。人間の体など、そんな価値しかない。
何を賭けられるか、とロドルは私に問うた。
自分の身など惜しくない。そもそもそんな人間はここにこない。
そうだろう、リェン=ドゥーショとやら。
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