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明星街に来て一週間ほど経つ。全体的な資産でいえば勝ってはいるものの、それでもまだ目当てのものを購入できるほどではない。このペースだと何年かかることやら――そんな暇は正直ない。今すぐにでも欲しいのだ。無意識のうちに拳を握っていた。私は今日も地下カジノに続く階段を下りていく。
明かりのない階段は、さながら怪物の胃袋にでも進んでいくような道のようで――カジノがドゥーショの資金源であると考えればあながち間違いでもないのだが――私は末恐ろしい感覚に襲われる。怪物の食道を降下していき、やがて現れる胃袋への扉を開くと、既に怪物に飲まれてしまった被害者たちが、いつものように博打に勤しんでいた。無論、私も例外ではない。
カジノの中心にはロドルが数人の取り巻きと一緒に立っていた。何やら客の一人と言い争っているようである。私は大して気にすることもなく、現金をチップに変え、前回に回収したチップとともにトランプゲームの台へ向かう。丁度ポーカーの賭けが終わったところのようで、手始めなところから始めようと、私は様子見を兼ねてチップを台の上に置いた。
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