白峰の場合

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白峰の場合

 バカバカバカ…!2人揃って本当に馬鹿みたい 私がテストの順位が下がったからって物凄く怒鳴ってきた。親の期待を受け、高校までは頑張ってきた。でも、もう限界だったの。だから家出をして今はこんな訳の分からない道を歩いている。 「どこよ!ここ!」 目の前に1つ小さな家が建つくらい。他は何もない。あたりはもう薄暗いし…ここに泊めて貰おうかな そんな思いで、緑色の扉に手を掛ける 「いらっしゃいませ」 「おもひで品物屋へようこそ」 「え、お店なの…」 戸惑ってしまった、民家なら泊めて貰えたのに…お店じゃそうはいかない。さて、どうしようか。 悠々と椅子に腰掛ける店主らしき老人を見つめる視界が潤む…まずい、泣きそうだ 「おやおや…」 「すみません、不安で…」 「その大きな荷物を見る限り、家出かな?」 「っ…そうです」 「そうですか、ちょっと待っててください」 ゆっくりと椅子から立ち上がると店の奥へと行ってしまった。 「お待たせしました」 1分も経たないうちに店主は戻ってきた。手には紙切れを持って。 「っ!どうしてこれを…」 「巡りに巡って私の所へ来たのです」  紙は100点と書かれたテスト用紙だった。大きな花丸が印象的だ。 ___また100点!凄いじゃない!___ ___ご褒美にお祝いしよっか!___ あの時は、100点をとることが当たり前だと思っていた。でも、高校はそうはいかない訳で… 「また、頑張ったらご褒美くれるかな…」 「あなた次第ですよ」 「ありがとう、これ買ってもいい?」 「お代は結構ですよ」 店を出て、母へと電話を掛ける 「あ、もしもし」 「ごめん、今から帰るね」 もう少し、頑張ってみよう
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