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奈緒が首を傾げながらスマホを操作する。ややあって「ひょっとして、見覚えある?」と自分に向けられた画像を見て、多摩は思わず立ち上がった。
「えっ?えっ、あ!あの子!……と昨日の女子高生!?」
奈緒のスマホに映っている画像は、どう見ても昨日公園で会ったラミちゃんと女子高生だった。明らかにご自宅と思しき部屋で、少女が愛しげにラミちゃんを抱っこしている。
「え?……え?」
「これ、うちの妹と、先週飼い始めたワンちゃん」
「えっ!?」
多摩は目を丸くした。思わず出た大声に自分でも驚き、「ご、ごめん」と取りなしながら、奈緒のスマホの画面を凝視しては奈緒と顔を見合わせる。
「じ、じゃあラミちゃんって名前つけたの、奈緒ちゃん?ティラミスのラミちゃん?」
「そ、そう……」
多摩と奈緒は目を丸くしてお互いを見つめ、それから弾かれたように笑いだした。「なにそれ!?」「そんなことある!?」とけらけら笑いながら、奈緒は更に多摩の肩をばんばんと叩くものだから、「痛い、痛いって」と背中を丸めながらも、多摩も笑い続けた。
やがて驚きがひと段落すると、奈緒が顔を輝かせる。
「ねえ、じゃあうちに遊びにおいでよ!ラミちゃん触り放題だよ」
「え?いいの?」
「もちろーん!」
あの子についに触れる。多摩はじわりと喜びを噛み締めた。
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