愛しのポメラニアン

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「行きたい!」 首を縦に振ると、奈緒は喜色満面で「おいでおいで」と応じた。その後、少しだけ間を置いて、思い出したかのように中根のほうを見る。 「あー、あの、せっかくだし、中根くんも来る?」  ついでのような誘い方のわりに、目がやたら真剣だ。さてはそっちが本命か、と多摩は肩をすくめた。しかし男性はなかなか狙ってる女の子の実家には行きにくいのではないか……。多摩はちらりと中根を覗き見た。盛り上がる二人を見ながらコンビニ弁当を食べていた中根は、いきなり自分に水を向けられて意外そうな顔をしている。やっぱり実家訪問は嫌か、と多摩が助け舟を出そうとすると、その前に中根が口の中のものを飲み込んでから、何事もないかのように笑顔を見せた。 「俺も良いんですか?じゃあ、お邪魔しようかな」 「あ、ほんと?いいよ、来て来て」 いや、それは行くんかい。はにかむような笑みを浮かべる奈緒の横で、多摩は胸中でツッコミを入れた。
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