20人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ
最後に四年生の「明るい家」を書いて見せた。
先生はしばらく半紙をながめたあと、左目でじっと私を凝視した。
「お前んち、明るくねぇだろ」
うまく笑って流せなかった。
伏せた視線の先で、先生が三年生の手本に書いた「真実」の文字が黒く光る。
「さっきの『信頼の絆』は良かったんだよ。そんなもんクソくらえって思ってるお前の反骨精神が滲み出ててさ。そういう作品は、俺は好きだね。でもこっちはなんつうか、取り繕ってる感じがすんだよ」
この人の左目には、私の「真実」がどこまで見えているのだろう。
「これもさ、いつも気になってんだよ」
先生は、「明るい家」の左隣に小さく書かれた、私の名前を指さした。
最初のコメントを投稿しよう!