その程度の光

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 春休みに県の書道展があるらしく、三学期の部活では、その書道展の出展作品を書いた。  高校二年生の課題は、「倫理を守る」。  これを、半切(はんせつ)という、掛け軸にするような長い紙に書く。  机を端に寄せて、教室の真ん中に半切用の書道セットを置いて、最初に先生が手本を書いた。  先生の書きぶりは、小さな半紙に向かっているときでさえ力強いけれど、半切に向き合うと、それはもう、暴力だった。  紙に文字を書いているというより、暴れる獣を組み敷いて、筆の力でねじ伏せているようだった。  
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