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先生は部員一人ひとりに、名前まで書いて手本を渡した。
私の手本は、部員の中で最後に渡された。
「お前にぴったりの課題じゃねぇか」
先生の言葉に、私は曖昧に笑った。
この課題を、先生が私にぴったりだと言ったのは、たぶん、課題に出てくる「倫理」と私の名前の「りんり」の音が同じだからだ。
ただ、私はその言葉遊びを面白がれるような気持ちには、なれなかった。
ほとんどの部員は、二、三回練習しただけで、それを出展作品に決めた。部活だから、決まりだから出展しているだけで、入選を狙うつもりなど、もともと誰にもないのだ。
私は何度書いても、先生に
「お前、これで納得してる?」
と言われ、肯定することができなかった。
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