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「私、やります」
部活のあと、先生を追いかけてそう話すと、先生は意外そうな顔をした。
私はべつに、小学校で書道を教えるボランティアに興味があったわけじゃない。出かける口実ができれば、何でもよかった。
おばあちゃんは私が学校から帰るのが少しでも遅くなったり、休みの日に出かけようとしたりすると、やたらとしつこく理由を聞いてくる。
私はお互いに不倫をして一家の恥さらしとなった両親の娘で、ふしだらな血を受け継いでいる。だから、注意して育てなければならない。
おばあちゃんの言葉の端々に、そういう考えが透けて見えて、息がつまる。
書道部の活動で、しかも小学校でのボランティアとなれば、おばあちゃんもすんなり家を出してくれるだろう。
私がそのボランティアを引き受けたのは、そういう理由だった。
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