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俺は、A組の教室を覗いた。西野は、一年の時、同じクラスで、何かと話してた女子の一人だった。話し易いという理由だけでいいなって、そのまま二年になって、クラスが違うようになってからは、あまり話さなくなったけど……
「あ、 島沢くん」
「ごめん、やっぱさ自分で渡しなよ」俺は、預かっていた可愛い封筒を西野に返した。西野は、封筒を受け取ると悲しい顔をして俯いた。
「やっぱり受け取ってくれなかったんだ」
「違うって、その方が気持ち伝わるんじゃないかなって思ってさ」
「変なこと頼んでごめんね」西野は、申し訳なさそ雨な顔をした。
「いいよ別に」
なんか変なお節介しちゃったかな……
「俺、部活だから行くね」俺は、西野に手を振ってA組の教室を慌てて出た。
「うん、ありがとう」西野は、軽く頷いた。
やっぱ…可愛いな……って賢次を好きってなんだよ!
体育館の入口で賢次が待っていた。立ってるだけで目立つモテモテなこの幼馴染にイラッとした。
「健、遅い!」
「……うるせぇな。ちゃんと間に合っただろ」俺は、賢次を押し退けて体育館に入った。
俺と賢次は、バスケ部。中学の時からチビな俺は、なんとか改善したくて入部したのに、賢次ばかりかデカくなって俺は、チビのままだ。
理由はともかく、バスケは好きだ。賢次はなんでバスケ部にしたのか聞いても教えてくれないけど。
「健、賢次。おっせーよ!」
「ごめん、山崎」
山崎は、同じ中学で俺達と同じバスケ部だった。まさか高校まで一緒とか、世の中狭過ぎだろう。
「そういや、健…さっき西野と話してたよな」
山崎ってA組だっけ……?
「まぁな」
「なんだよ、さてはあれかやっと告ったんか?」
「そんなんじゃないよ」俺は、いつものストレッチを開始する。
「んだよ、教えてくれたっていいだろう」その横で山崎もストレッチをし始めた。
「うるさいな…さっさと練習すんぞ。賢次おい、賢次!」
「……先生に呼び出されたって言ってだよね?本当はどこ行ってたの? 健」賢次は、俺の腕を掴み詰め寄って来た。
「おまえには関係ない。早く練習しようぜ」俺は、その手を払ってバスケットボールを手に持った。
「たけちゃん!」
「なんだようるせーな。聞こえてるわ」
「ちょっと来て」賢次は、俺の腕を掴み引っ張った。
「おい! 三森、急にどうしたんだよ!」野崎先輩が止めに入るが……
「大事な話があるので帰ります!!」
「なんだよ! 賢次! 賢次って!」
賢次は、俺の腕を掴んで引っ張った。そのまま、体育館の出口へ向かう賢次に抵抗してみたが、力では賢次に適わない。俺の抵抗虚しく、賢次に強制連行されたのだった。
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