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「賢次…もう痛いから離せよ!」俺は、賢次が掴む腕を引いた。
「ごめん……」
「謝んならすんな」俺は、少し痺れる手首を摩った。
「だって、たけちゃんが嘘付くから」
「嘘付いてねぇよ」
「じゃ西野さんと何話してたの?」
「何って…おまえに手紙渡してくれって頼まれたの。だけど、やっぱ…自分で渡しなって返しただけ」
「それ、なんていう知ってる? 要らないお節介っていうの!」
「おまえがそれゆーう? 最近、俺にしてるおまえのは何? 異常だろう」俺は、人の気も知らないでそんなことをいう賢次を睨んだ。
「俺、たけちゃんの事好きって言ったじゃん」
「うん、知ってる俺も好きだよ。じゃ、なきゃ一緒にいない」
「じゃなくて!」
「もう…なんだよ!」俺は、詰め寄って来た賢次の胸ぐらを掴んだ。賢次は、俺の腕を強く掴んで思い詰めたような苦し表情を浮かべた。こんな賢次を見たことない。
「俺は…たけちゃん以外興味ない!」
「だからって返事くらい出来るだろう!」俺は、賢次を押し退けて歩き出した。
「……嫌だ」
「この…分からず屋! 今のおまえ嫌いだ!」
「健!健って! 嫌いとか…なんで!」賢次は、俺の腕を掴んで離さない。
「っ! 痛い賢次! 離せよ! 離せって!っん!」
え____? なに??
キ…ス____??
俺は、渾身の力で突き飛ばした。賢次から離れた俺は、賢次の頬にビンタを食らわした。
「おまえよくも……暫く話し掛けてくんな! ばか! ばか! おまえなんか! 一回死ね!」
「…… 健!」
その後、全力で走って家に帰りベッドに潜り込んだ。賢次を殴った手と唇の感触がまだ消えない。
なんだよ…怖ぇーよ! 馬鹿野郎め!
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