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あれから賢次から話し掛けて来ない。隣りである俺ん家にも来ないから、かぁーちゃんも心配している。確かに、喧嘩しても一時間持った事がない。今日で三日も経っていた。
「なぁ、おまえらどしたの? 喧嘩でもしてんのか?」田中 茂樹ことシゲが俺と賢次を交互にみた。
「まぁね」
「喧嘩してんのに、一緒にいんのなんなの?」井上 勝己ことかっちゃんは、小さくため息を吐いた。
「賢次に聞けば…俺は知らない」俺は、プイっと横を向いた。
「あっ健、口付いてんぞ」かっちゃんが自分の頬を指差した。
「えっ? どこ?」俺は、両頬をごしごし手の甲で擦った。
「ここだって」かっちゃんは、見兼ねて俺の頬に触れようとした。その手を払って、賢次の手が俺の口元をハンカチで拭いた。無言で拭き、また賢次は、メロンパンに齧りついた。
「んっだよ…やんにくいわ、早く仲直りしろよ」かっちゃんは、手を払った賢次を睨んだ。
「……知らねーし。俺、自販機行って来る」俺は、俺が悪いみたいな空気に堪えられなかった。
「……っふ…」賢次が、鼻を啜った音でそちらに目線がいった。
え?! 泣いてる?!
「あ~あ、健がおかん泣かせた」今度は、シゲが俺を責めてくる。
「俺じゃない! 勝手に泣いたんだ!」俺は、手をブンブン振って弁明した。
「あ~あ、可哀想」そこへ、畳み掛けるようにたけちゃんかいう。
クソ! なんで俺が悪いんだよ!
「ほらっ! 賢次ちょっと来い!」俺は、賢次の腕を掴み引っ張った。
「いってら~~」シゲは、手をヒラヒラさせた。たけちゃは、ニヤニヤ笑っている。
クソ!あいつら覚えてろ!
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