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ボロボロ泣きながら、メロンパンをもぐもぐ食っる賢次に、自販機で買ったいちごミルクを差し出した。賢次は、それを受け取りパックにストローを差し一口飲んだ。
食うか泣くかどっちかにしろよ……
「……あまい」賢次は、鼻を啜りながら最後の一口メロンパンを頬張った。
「贅沢ゆーな。ほら」俺は、持っていたハンドタオルを賢次に押し付けた。
取り敢えず、屋上に続く階段に連れてきた。賢次は、まだ啜り上げて泣き止む様子がない。
「賢次なんかゆー事ないのか?」
「……たけちゃんふぇ…ご…め…ん」
「泣くなっておまえは本当…泣き虫だな。イケメンが台無しだ」
「俺…イケメン? たけちゃんからしてイケメン?」
「ああ、そうだよ」
「じゃ、好き? 俺は、たけちゃんが好き」賢次は、潤んだ目で俺を覗き込んでくる。
「それは……嫌いじゃねーよ」俺は、もごもごと口ごもった。
そんな簡単に好きとか言えるかよ……
賢次は、急に俺を抱きしめた。抵抗するつもりが、よろけて賢次の腕を掴んだ。
「あっ危ねーだろ! 急に抱き付くなよ!」
「ごめんって…西野さんにから貰った手紙読んだよ」
そっか西野さん渡せたんだな……
「うっうん……」
「ちゃんと返事したよ。好きな人がいるって」
「……ああ」
「だから、健も俺との事考えてよ」
「…………ん」俺は、ぎこちなく頷いた。
「キスしていい?」賢次は、背中から首の後ろを撫で、耳から顎へと賢次の長い指が俺の頬に触れた。
「ちょちょちょ調子に乗んな!」俺は、頬にある賢次の手を振り払った。
「たけちゃん好き」懲りずに賢次は、俺を引き寄せ顔を寄せてくる。
「分かったから…もういい!」俺は、顔を隠し階段を降りた。
「たけちゃん耳まで真っ赤だ」賢次は、後ろから俺を抱き寄せ耳元で囁いた。
「うるせぇ〜〜!!」俺は、耐えきれず賢次から逃げるように階段を駆け降りた。
「たけちゃん、待ってよ」賢次は、ヘラヘラ笑い追いかけてくる。
「キモい! ついて来んなぁ!」
「ええ〜〜キモいは酷いよ〜〜たけちゃ〜ん」
どちらかがいなくなるなんて、考えられなくて……幼馴染みで独占欲から始まって、辿り着いたのは俺達の脆くて狭い世界____
幼馴染み以上恋人以上以下省略。
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