幼馴染み以上恋人未満以下省略

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幼馴染み以上恋人未満以下省略

 賢次が、絶賛超絶不機嫌なのだ。事の発端は、俺が女子から預かった手紙。「この前、ちゃんと出来たんだから返事をしろよ」と渡した。 それを受け取らない賢次に、無理矢理押し付けたせいなんだけど…… 「なんで? 健は嫌じゃないの?」 「……ん? 別に」 「俺が他の人…俺を好きな人と話するんだよ」 「……だから?」 なんで、あんなに不機嫌になるんだ? 賢次がモテるのはずっと前からだし、腹立つけどイケメンなんだからそれは仕方がない。 「あっ、シゲ、それ新作のポテチ? 頂戴!」 「うん? ほれ」シゲは、指でポテチを摘み俺の口元へ近付けた。 「あ~んんんっ!」 「ダメ!」 シゲの手を阻み、賢次が俺の顎を掴んだせいでポテチを食べ損ねた。 「なにしゅんらよ!」 「食べたいなら帰り買ったあげるから! ね?」賢次は、メラメラと燃えるやような強い眼差しで俺を覗き込んでくる。 「……おお、絶対な」俺は、その圧に押され頷いてしまった。 「おまえ等…喧嘩するのかイチャつきたいのかどちらかにしろよ」シゲは、手に持っていたポテチをいい音を立てた咀嚼した。 「え? 喧嘩? してないよ。賢次が不機嫌なだけだ」俺は、いつまでも膨れっ面な賢次を押し退けた。 「……無自覚か」シゲは、ポテチもぐもぐしながら苦笑した。 「え? なにが?」俺の頭上に、いくつもクエッションマークが浮かぶ。 「あっ次、移動教室。行くべ、かっちゃん」 「ほら、痴話喧嘩程々にしておまえ等も行くぞっ」かっちゃんは、袋ごと口へ近づけ最後のポテチを食べ切った。 「痴話喧嘩?って何?」 「さすが健だな。賢次も苦労するよな」シゲは、ニヤニヤ笑いかっちゃんと教室を出て行った。 「シゲ、かっちゃん。俺も行くって」俺は、慌てて教科書を取り出した。その手を賢次が掴む。 「たけちゃんは俺と行くの」賢次は、俺を覗き込んで圧を掛けてくる。 「ああ? ほら、早く行くぞ」  誰もいない教室。賢次は、開いてる扉から出て行こうとした俺の腕を掴み引っ張った。後ろから抱き締め、俺の唇に軽く触れるキスをした。顎の手が上へ押し上げる。口元が緩み、賢次が中へ入ってくる。 「や…だ…って賢次」俺は、顔を逸らし賢次を押し退けた。 「足りない…健が……」賢次は、逃げ腰になる俺を抱き寄せる。顔を背けても執拗に追ってくる賢次の唇。俺は、耐えきれず自分の口を両手で塞いだ。 「賢次! 学校で…こうゆーの嫌だって!」  くっそっ慣れねぇ……なんで、平気なんだよ!   こいつは! 「健が悪いんだからな」 「は?」 俺は、火照った顔を両手で叩いた。その手を賢次が握って俺の掌にキスをする。 「……もう…健、可愛い」賢次は、俺を抱きしめて俺の左内腿に手を滑らせる。 「ちょっ! どこ触ってんだ!」 「ちょっとだけ……ね……」賢次は、下唇をぺろっと舐め更に上へ手を滑らせた。 「ああああ~~!!」 俺達は、取り敢えず授業にギリギリ間に合った。賢次はというと、相変わらず不機嫌なまま。 「それ、どうしたんだよ」 かっちゃんは、賢次の頬が腫れてるのを見て顔を顰めた。 「なんでもない……」賢次は、不機嫌な顔を逸らした。 「賢次が悪いんだ! 学校であんなこ…とんん!」 「ああっ! ああっ! ちょっと! たけちゃんって!」賢次は、慌てて俺の口を塞いだ。 「賢次…苦労するね」シゲは、深くため息を吐いた。 「お互い様って感じやけど」かっちゃんは、慌てる賢次と俺を横目にニヤニヤ笑った。 「だな……」シゲは、深く頷いた。 少しズレてる幼馴染み二人を、暖かく面白く見守る茂樹と勝己だった。
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