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昼休憩いつも通りの日常____
シゲとかっちゃんは、本日発売の漫画を読んでる。俺と賢次は、スマホゲームをやっていた。
「ちょっと…たけちゃん狭いよ。そっち座りなって」賢次は、真剣な表情でスマホをタップする。
「別にいいだろう」俺は、賢次の座る椅子に無理矢理押し座った。
「しゃねーな。健、こっち来い」かっちゃんが膝の上を叩いた。
「かっちゃんやっさし!」俺は、ゲームをしながらかっちゃんの膝の上に乗った。
「たけちゃん!」賢次は、スマホを片手で操作しながら俺の腕を掴んだ。
「賢次は、ゲームで健構えないだろう?」かっちゃんは、賢次の手をニヤっと笑いながら払った。
「ほ~ら~ほ~ら」かっちゃんは、俺を後ろ向きに座らせ、両膝を上下左右に動かした。
「勝己!」賢次は、かっちゃんを睨んでいたが、そんなのお構いなしで、かっちゃんが両膝を激しく揺らす。
「あっ、かっちゃんそんなに揺らすな! 手元が狂うって!」俺は、片方の手でスマホを操作してもう片方をゆらゆら揺れるかっちゃんの膝に手を突いた。
「健、今度はこっち来いよ」それを見ていたシゲが、ニヤニヤ笑いながら俺の手を掴んだ。
「シゲおまえおちょくってんのか?」
「健、そんな事ないよ?」シゲは、膝の上に俺を向き合って座らせ、シゲが下から見上げてきた。シゲの手が俺の腰辺りを持ち、ゆっくりゆらゆらと両膝を動かし始めた。
「あっもうシゲ揺らすなって!」俺は、その揺れに耐えられず、シゲに抱き付いてそれでも必死にゲームを続行した。
「健、本当可愛いよね〜〜」シゲは、抱き付いた俺をぎゅっと抱き締めてくる。
「やべぇって! シゲ離せ! 死んじゃうから!」俺は、必死でスマホを操作した。
「茂樹! おまえ!」賢次は、机をバシっと叩きスマホを置いて、シゲに抱き付いてゲームをしている俺を引き離した。賢次は、俺をぎゅっと抱き締め、シゲとかっちゃんを睨んでいる。
「ダメ! 俺の!」賢次の声を聞いて教室にいた女子達がざわついた。
「賢次、声でけぇ! つーか邪魔…あっ!あ〜〜あ。賢次のせいでゲームオーバーじゃん」俺は、抱き締める賢次を押し退け椅子に座りまたゲームを始めた。
「……たけちゃん」賢次は、構ってもらえない犬みたいにしょんぼり項垂れ、俺の後ろの席へ座った。
「撃沈だな」シゲは、小声でかっちゃんに耳打ちしニヤっと笑う。
「ああ、健には適わないって」かっちゃんは、声を出して笑った。
「面白がるなよ! 勝己、茂樹!」賢次は、かっちゃんとシゲを睨んでプイッと横を向いた。
「まあまあ、そんな拗ねんなって」
かっちゃんとシゲは、拗ねる賢次を見て笑った。
「なに? なに? なに笑ってんの?」俺は、かっちゃんとシゲを交互に見た。また、二人が笑い出した。
「健のせいで、賢次が拗ねてんの」シゲは、机に伏せている賢次を指差した。
「はあ? なんで?」俺は、後ろの席にいる賢次を見た。
「賢次、拗ねてんのか?」俺は、机に伏せる賢次の頭を撫でた。
「……拗ねて…ない」賢次は、小さな声で言う。
「やっぱ健には敵わないな…なぁ、賢次」シゲは、俺と賢次を交互に見て微笑んだ。
「えっ? えっ? 敵わない?なにが?」俺は、なにがなんだか分からず、賢次の頭から手を離した。
「たけちゃん、もっと撫でて」賢次は、顔を上げ、さっきまでの膨れっ面が嘘のようにとびっきりの笑顔をした。
「そんだけ笑えるならいいだろ。イケメン全開で笑うな! ムカつく!」俺は、賢次の頭を軽く叩いた。
「痛っ! ええ〜〜もう一回」賢次は、頭を下げて撫でてと強請る。
「はあ? やだ」俺は、ゲームを続行した。
「お願い! もう一回だけ…ね?」賢次は、合掌して懇願する。
「し…仕方ねーな…ほら」俺は、賢次の柔らかい髪の毛に触れポンポンと撫でた。賢次は、フニャと締まりのない笑顔をし「ありがとう」と言った。
そのやりとりの一部始終を見ていた勝己と茂樹は、おまえら勝手にやってろと、小さなため息を吐いて微笑んだ。
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