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雲一つ無い満月の夜。
住宅街の一角で一人の中年男が三人の仲間達へと活をいれる。
「おう。いいかお前ら! 情けは無用だ。徹底的にやっちまえ!」
「「「オウ!!」」」
この日ほど彼らにとって都合のいい日は無い。日頃の苦労が嘘のように目的を果たせるかもしれない一日だ。
「……だが決して油断だけはするな。
百戦無敗で早業の早川タケフサでさえ去年ヤられたんだ。敵も狙ってきてるのは間違いない」
「わかってますって」
「タケさんは準備を怠ったんス」
「俺らはあんなヘマしねぇよ」
「……まあいい。忠告はしたからな。何があっても自己責任。恨みっこ無しだ」
「わーってるよ」
「ああ」
「……!」
「……いい心掛けだな」
「ん? 誰だおま……っ!」
「残念だったな。
近隣から通報が在って来てみたが先週ぶりだな、(月夜に現れる)烏丸ヒロノブと……」
「制服警官ッス!」
「チッ! 散開しろ!」
「なっ?! タクの野郎、もう居ねぇ!」
「」
「(音も無く在宅時を狙う)福田ジロウは僕が!」
「まかせた!
高橋! (臆病で逃げ足の速い)稲田タクは後回しだ! (目をつけたら執拗に狙う)多田カツトシを追え!」
「は、はい!」
こうして月夜の下で警官と泥棒の戦いの火ぶたが切られた。
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