67人が本棚に入れています
本棚に追加
差し込まれて来た何かを手に取ると、それは手紙だった。
――――――――――――
ラク様へ
さぞや潤った日々をお過ごしかと存じ上げます。しかし、この度の悪行。
そして、この間の無礼。
とても許せるものではありません。
でも私、パステルは貴方を愛してしまったようです。
――――――――――――
うん。まったく意味が分からない……
俺は読んだ手紙をその辺りに放り投げ、柔らかなベットの上に仰向けに横たわると天井を見つめながら考えた。
銀色の髪をしたちっこい女の事を……
1ヶ月程前だったと記憶する。
アルミル王国のお姫様〈パステル〉が誘拐される事件があった。
パステル姫はアルミル王国の国王〈ラゾンテ・ハラ・デューイ三世〉の一人娘で、歳は18歳。
身長は150センチも無く子供の様だが胸だけは不自然に育っていてエロい。
そして珍しい銀色の髪に美しい顔立ちで、その人気は世界中に噂が拡がる程だ。
抱きたい女ランキング。ナンバー1だとかなんとか……
当時のアルミル城下町にある冒険者ギルドは、その誘拐事件に関する依頼内容を知ろうと各地から集まった冒険者達でごった返していた。
国王からの依頼なので報酬額もそれはそれはデカイ。姫や国王に良く思われたい奴や腕っぷしに自信のある奴は皆、その依頼に飛び付くだろうと思われた。
――――だが。
依頼内容の最後の方に書かれていた言葉が多くの者に二の足を踏ませていたようだ。
――――――――――――
〈ラミネート〉からパステル姫を無事に救出した者には金貨50000枚を与える。
――――――――――――
この内容を見て密かに俺は笑いを堪えた。
ラミネートから姫を救出ねぇ……
出来る奴なんかいるわけねーじゃん。
最初のコメントを投稿しよう!