イマジナリー・ボーイフレンド

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 目覚ましが鳴っていた。あたしは眠い目をこすりながら起き上がる。  なんだか、懐かしい夢を見ていたような気がする。「ユウト」の夢……  彼があたしの前から姿を消して、いったい何年が経っただろうか。 『あおい、いつまでもぼーっとしてるの?』  そうそう。「ユウト」はこういう優しい感じの物言いをする子だった。 『ねえ、ちょっと、時計見てよ。この時間、大丈夫なの?』  ……!?  思わずあたしは振り返る。そこには……  あたしと同じくらいの年頃の男子が、浮かんでいた。 「うわああああ!」  あたしは悲鳴を上げて後じさる。 『相変わらず、怖がりだね』  目の前の男の子が、呆れ顔で言う。黒い学生服を身にまとい、髪はツーブロック。ちょっとナヨっとした、線の細そうな顔立ち。全然見覚えがない。というより……  その体の向こうの様子が……うっすら透けて見えるんだが……  これは……幽霊とか、そういう類いの物なのか……? 「あんた……誰……?」あたしの声が恐怖で(かす)れる。 『忘れちゃったの?』  彼の呆れ顔にさらに拍車がかかる。 『ユウト、だよ。小さい頃によく遊んだじゃない』
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