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「先輩、今日はありがとうございました!まさか私が先輩主催のランウェイを
務められるなんて、夢みたいです!」
「君がモデルを目指して、いつもランウェイの勉強をしてるって、友人が教え
てくれてね。丁度モデル枠が今日になって一つ空いたから誘ったんだ」
「文化祭当日に、担当するモデルがキャンセルしちゃったんですか?
なんか・・・・・随分無責任ですね・・・・・」
「アイツは元々ああいう奴だって事は、『元彼』の俺が一番よく知ってるから
な。きっと今頃、別の男と遊んでるに違いない。文化祭にも姿を現さない
んだから、今日ファッションショーに来るアイツの両親は、さぞ赤っ恥だ
ろう」
その頃とある墓地では・・・・・
「ガイシこれでもう、寂しくないでしょ」
そう言って女は、墓の前で手を合わせた。色とりどりの花が添えられている、まだ新品同様に綺麗な墓。墓の外側には、今は亡き女の息子の名前が刻まれている。彼が生前身につけていた高校の制服も、彼と共に墓の中へ埋葬された。墓の前には、花以外にも、お菓子やジュースも添えられている。そして墓の中央には、まるでソーセージの様な物体が、血で濡れた状態で置かれている。ソレを見た女は、笑みを浮かべていた。亡くなった息子の部屋から見つかった手紙と、一通のメモ。
そこには一言だけ、こう書かれていた。
「もし母さんや父さんが、悲しみと苦しみで心が耐えられなくなった時、この
手紙をチヨの元へ送ってほしい。そうすれば、すぐ二人の心の闇は晴れる
よ」
「・・・・・・・そうね・・・・・・・・・・私達も、『貴方』もね」
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