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ー 翌日 -
手紙を渡すために今日は少し早めに来た。
やっぱり、今日も彼からの手紙はきている。
100通目。
彼はどんな気持ちで私への手紙を書いているんだろう。
なんで、避けるの?
一方的に気持ちを伝えられたって困るよ。
私の気持ちも聞いてほしい。
私は昨日書いた手紙を持って、教室を飛び出す。
廊下を走り抜ける。
君はどこにいるの?
私は君に伝えたいよ。
もっと私を見て。
君をこんなにも想っている私を。
「いた!」
大好きな彼の後ろ姿をみつけて私は叫ぶ
「待って」
彼はゆっくりこっちを向く。
こっちを向いた彼の顔はとても驚いているようだ。
「あなたに伝えたいことがあるの」
「なんで、僕に……」
彼はいつものように逃げようとはしない。
私がどれだけ本気かわかっているようだ。
「これ……」
私は彼にもらった手紙を出す。
「100通目。本当にありがとう。毎日何回も読んでいるよ。君の手紙はとっても暖かくて、まっすぐで……本当にうれしい」
「え……?僕は君が迷惑に思っているとばかり……」
迷惑になんて思うわけないでしょ。あんなまっすぐで、優しい手紙。
今度は私の番。
君にこの気持ちを伝えるから。
「それでね。これ、ずっと言いたかった返事。昨日ずっと考えてたんだ。今開けて。」
「う、うん……」
彼はそっと私の手紙を開く。
「え?これって……」
彼はとても驚いている。
そんなのあたりまえだ。
だって……
その手紙は白紙なんだから。
「驚いたでしょ。それが私の答え。私はね。言葉にできないほど君が大好きなんだ。話したこともないけど、君のまっすぐなところが」
「え?」
「私には君のようにうまく手紙が書けない。とっても不器用なんだ。それに、私はこの気持ちに見合う言葉を知らない。私はね、この恋心は無限大だと思うんだ。ずっと、ずっと、大きくなっていくんだと思う。だから、この気持ちにあった言葉を知らないんだ。」
そう、
これが私の答え。
これが私の気持ち。
君はどう思う?私の答えを
「改めて言うよ。私とお付き合いをしてくれないかな。」
私が導き出した答え。
君はこれを受け止めてくれる?
「はい」
彼は見たこともないような笑顔で私にそう答える。
これから
君のたくさんの表情を知っていくんだろうな……
もっと、もっと
たくさんの君を知りたいな
誰よりも君を知りたい
100通の手紙の私の返事は
一枚の真っ白な紙でした。
でも、
きっとその白い紙は、
彼への気持ちでいっぱいになることでしょう。
end
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