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韓国のプログラマーが言う「うまくいってたことがうまくいかなくなった時に考えること」の話
「今の時代は物事が変わりやすいです。通りやすい道はいつも動いてて、パズルみたいです」
アートプログラムに受かって韓国釜山の施設に滞在していた時、二日間に渡り、地元市民向けワークショップが開催された。アーティストはそれぞれ、自分のアトリエでワークショップを行い、かなり多くの人が訪れた。
終了時間がきてアトリエを片付けていると、黒い髪の毛をしっかり整えた黒のスーツの韓国人の男性がアトリエに入ってくる。細い銀のフレームの眼鏡のせいか、真面目そうな印象の人だった。
私が「ちょうど終わっちゃったんですよ、すみません」と英語で言うと「あれ、日本の方ですか?」と日本語で声を掛けられる。そうだと言うと、日本人がいると聞いて見に来たのだと言う。
「私、日本で働いてたことがあります」
「ああ、そうなんですね! 日本語お上手ですねぇ」
IT関係の企業に勤めていたという男性はプログラマーとして日本で働いていた経験があると言った。ワーキングホリデービザで滞在し、途中で就労ビザに切り替えたそうだ。
「こういうプログラムがあるっていうのを初めて知りました」
「ああ、すごいですよね。軽食も食べ放題だし、聞いたらプログラム講習とかもあって全部無料で受けられるって」
「そうそう、コンピューターのキットももらえるんですよね」
「ですってねぇ! 韓国語が分かったら参加したかったですー」
アーティストもそれぞれがワークショップを開催し、オリジナルのコップやお菓子をつくったり、アクセサリーをつくったりできる。アーティストには事前に材料費を含むアーティストフィーが払われているので、来場者はすべて無料で楽しむことができるのだ。これが全部無料とは、かなり充実した市民向けプログラムだ。
「これはなんですか。アーティストさんは招待されてるんですか?」
「アーティスト・イン・レジデンスっていうプログラムなんですけど、募集が出てるのでそれに応募して、企画が通ると来られるんです」
「へえぇ、そんなのあるんですね。どのくらいいるんですか?」
「もう二ヶ月いるんですけど、あと一ヶ月。全部で三ヶ月います」
「おお、けっこう長いですね。ゆっくりできそうですね」
「はい」
「終わったらどちらへ? 他のプログラムも受けてるんですか?」
「いやー、まだ来年のことは決まってなくて」
私は毎月二件以上のレジデンスプログラムに応募していることを話した。今年は合格率が悪くて、二〇二〇年の予定はまだ決まっていない。
「これまでは割とうまく行ってたんですけど、最近はなかなか」
「なるほど、原因は分かる感じですか?」
「受けるところのレベルが高くなっているのか、情報が調べやすくなって受ける人が増えてるのか…。分かんないですねぇ。自分も最初の頃よりはレベルが上がってると思うんですけど」
「そうですかぁ」
「うまくいってるっていっても、一割合格くらいでしたけど、他のものと比べると確率は高かったので頑張ってたんですよね。今はなかなか受からないから、けっこう行き詰ってます。どうしたらいいだろうって」
彼は眼鏡を軽く持ち上げ、少し考えてから言う。
「今ってほんとに、時代がすごい勢いで変わってるんですよね。ちょっとした変化で今までうまくいってたことが急に閉ざされちゃうこともあります。でもその分、すごく早く進めることもあるから」
進む道はパズルみたいに入れ替わっている、と彼は言った。
「パズルをうまく解く方法は、パズル自体を楽しむことです」
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ここまで読んでいただきありがとうございます!
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