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朝食は昨日の残りのカレーにした。
「僕のファーストカレーが柚月ちゃんで良かった」
不意に朔の言葉が頭の中に蘇る。ファーストカレーってなんだよ。思わずクスリと笑みが溢れた。
メイクをしたら鏡の前で笑顔の練習。
「僕は柚月ちゃんの笑顔が大好きだよ。世界で一番可愛いと思う」
鏡に映った笑顔はそれ程悪くない。でも、世界で一番は流石に言い過ぎだ。
クローゼットを開けると、またまた朔の声が聞こえた。
「柚月ちゃんは可愛いんだからもっと明るい色を着たらいいのに」
明るい色? じゃあ、これなんかどう? 一度しか袖を通していないピンク色のワンピースを手に取る。なんだか、朔の本みたいな色だ。
「柚月ちゃん可愛い」
すぐ近くから聞こえたその声に勢いよく振り返る。そこに朔の姿は無い。あるのは桃色をした本だけだ。
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