38話

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カチっと音がして熱風が止まると、目の前にキラっと光るものが見えた。 手に取ってみると、ゴールドの細いネックレスで、アルファベットのAのチャームが付いてる。 「冬馬?これどうしたの?」 「亜希、誕生日おめでとう!今年はやっと当日に言えたな〜。」 振り返って冬馬を見上げた。 「いつ用意してくれたの?」 「昨日の午前中に行ってきた。」 「会社って言ってたのに…。だからスーツにも着替えなかったんだ!」 「ははっ!ほんとーに亜希が鈍くて助かってるよ、俺。」 「甘やかし過ぎ!貯金なくなっちゃうよ!」 また、ははっと笑った冬馬の膝を軽く叩いた。 「大丈夫!亜希が帰ってくるまで、貯金頑張るからさ。」 冬馬は、ふっと真顔になって両手で私の顔に触れてきた。 「約束、一応果たせたかな〜。」 「えっ?」 「31歳になったら、結婚しようってやつ。」 「それで、今日入籍したの?」 「んーまぁ、それもあるかな…。イギリス行く前に入れたかったってのもあるし…両方!2年後も考えてたけど…。イギリスのイケメンに取られても嫌だしさ!」 ワザとスネた顔をした。 「…ありがとう!プレゼント…。大事にするね!」 「ま、一番のプレゼントは、俺だけどな〜!世界に一つじゃね?」 調子に乗った冬馬の膝の上に向かいあって座り、抱きしめた。 「ホント、世界に一つ…。」 冬馬も抱きしめてくれた。 「大好きだからね!」 「はっはー。俺には勝てないと思うぜ?」 「ばか。」 ふざけた冬馬に私からキスをした。 「亜希、ゴメンな。婚約指輪がなくて…。」 「えっ?婚約指輪?」 「よくあるだろ?給料3ヶ月分って…。」 全く頭になかったーーー。 「もう何にもいらないよ!私にお金使わないで!」 「そう言うと思った!だけど、結納もしてないしなー…。」 「冬馬って…意外に、結構…ちゃんと考えてるよね…。」 「意外かよ?!」
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