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カチっと音がして熱風が止まると、目の前にキラっと光るものが見えた。
手に取ってみると、ゴールドの細いネックレスで、アルファベットのAのチャームが付いてる。
「冬馬?これどうしたの?」
「亜希、誕生日おめでとう!今年はやっと当日に言えたな〜。」
振り返って冬馬を見上げた。
「いつ用意してくれたの?」
「昨日の午前中に行ってきた。」
「会社って言ってたのに…。だからスーツにも着替えなかったんだ!」
「ははっ!ほんとーに亜希が鈍くて助かってるよ、俺。」
「甘やかし過ぎ!貯金なくなっちゃうよ!」
また、ははっと笑った冬馬の膝を軽く叩いた。
「大丈夫!亜希が帰ってくるまで、貯金頑張るからさ。」
冬馬は、ふっと真顔になって両手で私の顔に触れてきた。
「約束、一応果たせたかな〜。」
「えっ?」
「31歳になったら、結婚しようってやつ。」
「それで、今日入籍したの?」
「んーまぁ、それもあるかな…。イギリス行く前に入れたかったってのもあるし…両方!2年後も考えてたけど…。イギリスのイケメンに取られても嫌だしさ!」
ワザとスネた顔をした。
「…ありがとう!プレゼント…。大事にするね!」
「ま、一番のプレゼントは、俺だけどな〜!世界に一つじゃね?」
調子に乗った冬馬の膝の上に向かいあって座り、抱きしめた。
「ホント、世界に一つ…。」
冬馬も抱きしめてくれた。
「大好きだからね!」
「はっはー。俺には勝てないと思うぜ?」
「ばか。」
ふざけた冬馬に私からキスをした。
「亜希、ゴメンな。婚約指輪がなくて…。」
「えっ?婚約指輪?」
「よくあるだろ?給料3ヶ月分って…。」
全く頭になかったーーー。
「もう何にもいらないよ!私にお金使わないで!」
「そう言うと思った!だけど、結納もしてないしなー…。」
「冬馬って…意外に、結構…ちゃんと考えてるよね…。」
「意外かよ?!」
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