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席に着いたタイミングで、内線が鳴った。
総務の小林からだった。
「椎名…、いつの間に、こんな事になってんの?前にさ、社内同士で結婚したら二人とも申請がいるか聞いて来た時、後輩って言ってたのに…!」
「わ〜〜!!小林!お願い、落ち着いて!フロア行くから、時間ある?」
受話器の向こうで、だんだんと声が大きくなっている小林をなだめて、急いで総務のフロアへ向かった。
総務のフロアの外でイライラした小林が立ってた。
「牧君とだなんてー!!」
私を見つけるなり、近づいて腕を引っ張り隅に移動した。
「驚いた?…ってことは、牧はもう申請したんだ?」
「昨日、申請上がってたよ!相手の名前見てびっくりしたよ〜!椎名も早く申請あげな?今日で最後でしょ?」
「イギリス行ってからしようかとも思ってたんだけど…。」
「まぁ、扶養とか関係ないから、イギリス行ってからからでもいいけどさ!おめでとう!で、どっちから?」
「牧…かなぁ〜。」
「ふーん。なんかゆっくり話したいけど、時間ないもんね。また帰ってきたら話そうよ?って、椎名が帰って来たら、私育休中かな〜…。」
そう言って、お腹をなでた。
まだ全然分からないけど。
「えっ?オメデタなの?うそ!凄いって!」
にこーっと笑う笑顔が可愛く見えた。
「まだ分かったとこ。病院で心拍確認できたから…。まだ上にも言ってないよ。」
「つわりとかは?大丈夫なの?」
「今のところね。お互い、いい話が聞けて良かったよね!イギリス着いたら、社内メールでもして?」
総務部からの帰り、経理部の前を通ると宮内先輩と目が合った。
手を振ると、こっに来てくれたら。
「いよいよじゃん!頑張ってね!」
なんだか雰囲気が優しい。
「先輩、何かありました?今日の雰囲気が優しい…。」
「あはは…普段、どんだけ怖いの?」
「そんな意味じゃないですって!」
「嘘だって!最近、割と楽しくてさ!」
宮内先輩に、コッソリ結婚したと報告した。
「すごい急展開…」
「私も驚いてます…。ギリギリの報告ですみません…。」
肩をポンと叩かれた。
「ま、私も似たようなもんよ!」
「じゃあ、いい人出来たんですか…?」
「まだ、そこまでは…。相手が年下なんだけど、でも、何かいいなぁって…。どうなるかは分かんないけどさ。また迷走戻るかもだし!」
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