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「あ、2日遅れたけど、ハピバー!三十路!」
「三十路は余計よ!牧だって、すぐ来るよ!」
「俺は男だから、いいんだよ!男は30からだしさ。まぁ怒んなって!はいっ!」
ポンっと机に置いたのは、
「なんで、耳かき?!」
「ご当地キャラつきだぜ!お前、折れたって言ってたじゃん。」
「女の子のプレゼントに、耳かきってマジー?」
「お前からのも似たようなもんだろ」
お互いを意識せず、過ごせる時間はホントに楽しい。
牧に彼女が出来た時は嬉しかったし、別れた時は悲しかった。
こんなにいい奴なのにって。
「シイナ、元カレから連絡なし?」
「あるよ。もう一回会って話したいとか…。でも、あいつはもういいかな…」
牧は、はーっ、と深いため息をついて、二本目のビールを取りに行った。
「シイナって、サッパリしすぎじゃね?元カレってあいつだろ?広報の…」
「あのねぇ、私だって直後は寂しかったし涙出ましたよ!でも、今戻っても同じ事でケンカするのが分かる。誰だって、ケンカしたくないでしょ。今さら私も彼も変われないから。」
「まぁ、シイナの事だからまた出会いを求めに出るんだろ?コンパとか。」
「…」
「何?いらないの?」
自分にはビールを取って、私にはチューハイを渡してくれた。
三本目から、私がチューハイになる事もよく知ってる。
「うーん…。しばらく、一人でいいかな。仕事も忙しいしさー。彼氏いなくても、今もボチボチ楽しいし…」
驚いた顔で私を見る牧。
「おまえ、大丈夫かよ?」
「結婚とかまだ見えないし、親も何にも言わないし。しばらくフリー満喫しようかなって。ほら、シンガポールに転勤になった井上君がさ、遊びに来いって連絡きたから、今度一緒に行こうよ?一緒に遊んでくれるのって牧しかいないもん。」
またまた驚いた顔した牧だけど。
「行く」って言うから、牧が親友で良かったと思った。
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