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「確か、梅小路家のレディー・エメラルドは清子さんが嫁がれた年のお誕生日に、亡くなられたご主人がプレセントされたとか?」
「ええ、そうです。先先代がヨーロッパから持ち帰り、その後庫の中で眠っていたものを私が見つけ、あんな暗いところではかわいそうだからと出してまいりましたの」
「それからはずっと母屋に?」
「ええそうです。」
「当時、ちょっとしたサプライズのつもりだったのでしょう。主人が蔵の中で傷んでしまったエメちゃんのお洋服を工房で修復してくれましたので、修復期間中はこの家を離れたかと思います」
「その時に、瞳にエメラルドを使った貴重なビスク・ドールがこの家にあることが知れ渡ったのですね?」
「そうです。ふふふ。主人は驚かそうと黙っていたのですが。お手伝いさんに届けさせたら、こんな貴重なものを自分たちが預かって、手をかけていいのかと工房から慌てて電話があったと」
「ビスク・ドール自体は元々マネキンのように、当時の流行の服を着させて、宣伝として使っていたものなので、宝石なんかが使われることは無かったんだよ」
ぽかんとしている私に、津田先生が解説してくれた。
「そう言えば、この子が小さい時にエメちゃんが欲しいとねだったことがありましたね」
当時のことを思い出したのか、清子さんは貴子さんを視線を向け優しく微笑んでいる。
「もぅ! お母様ってば! そんな昔の話を……」
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