この世界は呪われている

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この世界は呪われている

遠い遠い時の果てに住んでいる人達は 永遠の命を持つと言われている。 赤い実の成る木の下 生まれた子供がいた。その子には死の呪いがかけられている。 そんな、呪われた世界と呪われた少女の話。 色付いた街外れ蒼く光、湖畔 赤い実のお菓子屋があった。 そこには一人の少女が暮らしている。 ちょっぴり寒くなった 今日は妙に誇らしげに自信作を売りに街へ行く。 「待ってて。今度こそ、美味しいんだから」 少女は時計塔が見える市に来て立ち止まった。 「驚いたわ。いつもより賑やかね。でも、ラッキーだわ」 少女はにっこりと笑い 通りかかる街の人達に向け、物憂げな街の隅で少女はこう言った。 「一人、赤い実のパイ どうですか?自信作をなんです!」 と聞いた街の人達は少女に向けてこう言った。 「そんなの一つも売れないさ」 とね。 少女を見て、蔑む人達。 みんなと何も変わらないのに..... 「せっかく.....美味しくできたのに.....」 少女はこう思った。 『今日も声は届かないのね。まるで、透明になったみたいだわ』 そして、誰もが少女を知らぬフリをした。 なぜなら、少女が呪われているから。 死んだ世界でただ、一人生きていた少女の話 夜なべ で アレンジパイとにっこりスマイル提げている。 少女はまだ、諦めない。 時計塔の針も空を指して お腹も鳴るそんな時間帯だった。 もう一度、声を出そうどした時 ふと後ろから人が少女を押した。 少女が手に持っていた 甘い籠は落ちた。 籠から落ちたお菓子を平気で踏んでいく人達がいた。 少女は惨めに拾い集めた。 ふと、もう一人の手がパイを拾って 徐に口に入れて 「美味しいね」 と言ってくれた。 少女はその言葉 声を聞き 心が溢れた。まるで、輪郭を描いたみたいに。 そして、彼は少女に手を差し出した。 なぜなら、少女に呪われているから。 死んだ世界でただ、二人生きていた遠い物語。 だが、街の人達は哀れんだ。 「赤い実を食べて呪われた者は永遠に生きられずに死んでしまう」 「あぁ、なんて可哀想な子だ」 二人は笑った。 永遠に生きられずに死んでいく呪いがかけられているのに それでも笑った。 とっても素敵な呪いと少女は思った。 『例え明日、死んでも今が確かで大切になるんだよね』 『もう声は届かないみたいだ。まるで、透明になったみたいだな』 そして、誰もが知らぬフリをした。 なぜなら、世界が 『呪われているから』 少年と少女、二人には永遠の呪い解かれていた。 まるで、二人の方が狂ったみたいだ。 そして、いつか笑うように眠る。 なぜなら、二人は放たれているから。 死んだ世界でただ、二人だけが幸せだった。
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