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ぼくはしばらく夜空を眺めていたが、ふと本来の目的を思い出して、窓から離れた。まずは、おかしを準備しよう。ぼくはキッチンに向かうと、すみっこにある冷蔵庫の前に立った。
近くに行くと、ブーン、という小さな音が、冷蔵庫から鳴っているのが分かる。夜になると、普段は聞こえない音が聞こえるのだ。
思い切り手を伸ばすと、ぎりぎり冷蔵庫のドアの取っ手に届いた。でも、ドアを開けようとしても、なかなか開かない。いつもは、おかしもジュースもママがとってくれるので、一人でやるのは初めてなのだ。
ぼくは目をつむって、手に最大限の力を込めてみる。その瞬間、急に手応えがなくなったかと思うと、どすんという大きな音がした。
ぼくは驚いて、尻もちをついた。何が起こったのかと思い、冷蔵庫を見上げると、真正面から眩しい光が差してきて、ぼくは思わず目を細めた。
よく見てみると、全開になったドアがゆらゆらと揺れ、真っ白な光に溢れる冷蔵庫の中が、丸見えになっている。どうやら、勢い余って、ドアが壁にぶつかってしまったらしい。
ぼくは落ち着いて、冷蔵庫が壊れていないのを確認し、少しほっとした。でも今度は、さっきの音で、ママかパパが目を覚ましたのではないかという不安に駆られた。
ぼくは、尻もちをついた体勢のまま、そっと耳を澄ました。冷蔵庫の音、かすかに聞こえる虫の音。
しばらくそうしていたが、扉を開ける音は聞こえなかった。ぼくは夜ふかしを続行することにした。
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