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「ええ、いい場所ですからね」慌てて答えた私に、追いついた男性は「そうですよ、近頃は訪れる人も増えましてね」と言った。
「そうなんですか」そう返事した私に彼は、「先ほど手を合わせてらっしゃいましたでしょう」と言った。
困惑して、「なんでもないんですよ。百合の花が咲いていたものだから、つい」と話をはぐらかそうとした私に、男性は岩の間に咲いた見事な百合を眺めながら、「誰が埋めたんでしょうね」と言った。
その言葉に動揺した私は、「何かあったんですか?」と、咄嗟に口走った。
「おや、知らないんですか? ここでね、この岩の間の土が柔らかい場所から女性の白骨死体が見つかったんですよ」
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