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私の父方のおばあちゃんはあやかしが視える人だった。お父さんはそれを受け継ぐことなく、孫の私が同じようにあやかしを視る力を持っていた。
お母さんはそんな私を怖がり、目を背けて弟にしか話しかけなくなった。
お父さんも頭を抱えて、助けを求めたのがおばあちゃんだ。一人暮らしをしていて、喫茶店を経営しているおばあちゃんは快く受け入れてくれて小学三年生の頃から私はおばあちゃんの家で暮らしている。
長く感じた授業がやっと終わり、放課後は坂を登る前にスーパーで小麦粉やバター、砂糖などを購入した。買い物袋をぶら下げながら大きな坂を登っていく。
東京といっても都会とは離れている日野市は名前を知られていないことが多い。
この市よりも隣の立川市や二駅離れた八王子市のほうが知名度が高いのだ。日野市は坂が多く、住んでいる場所によってはスーパーや駅から帰ってくるときは登りなので一苦労。
私の家は坂の途中の右側にある長い石段を登りきった先にある。
ちょうど石段の真ん中あたりにさしかかったところで、セーラー服の女の子が座っているのが見えた。
「あ、こんにちは。おねーさん」
膝の上で頬杖をついて、にっこりと微笑んだ少女は最近ここでよく見かける子だ。
「こんにちは」
あのセーラー服は坂の下にある西中のものだから、中学生なのだろう。肩に掛かるくらいのショートカットで、気さくに話しかけてくる社交的な子だ。
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