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「居ない! あなた、佳奈が! 佳奈居ないわよ!!」
半狂乱した沙樹の腕を、隆が掴む。
「落ち着け、庭で遊んでいるかもしれないだろう!?」
沙樹はハッとして硝子窓を開け、そして縁側に座る佳奈を見付けた。
2人はホッとして顔を見合わせ、佳奈の肩に手を掛け……。
ぐらりと佳奈の身体が揺れ、隆の腕に、仰向いた形で倒れた。
「ひぃっ!?」
カッと見開いた双眸と、細い首に絞められた手の後が残っていた。
佳奈の右手には、長い髪がごっそりと掴まれて。
「お母さん! 荷物」
引っ越して来た家族が、木造平屋の家の窓を開けて、空気を入れ換えをする。
庭に出ていた2人の女の子が、お母さんと呼ぶ。
「ねえ、新しいお友達出来た!」
今年6歳になる女の子が2つ下の妹とはしゃぐ。
「あらもう? どんな子?」
「えっとね~髪の毛の長いお姉ちゃん!」
end
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