【24】

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 は? 周防の顔に奇妙な表情が浮かんだ。 「玲……? 何か、大きな誤解をしてないか?」 「玲、おまえ……」  拓馬も身を引き、残念な人を見る目でこちらを見ている。 「なんだよ」  唖然とする周防の横で、拓馬が呆れたような口調で言った。 「あの人は、周防瑤子さんだろ」 「え?」 「旧姓、原瑤子さん。この男の、お母さん」 「ええっ?」  嘘だ。  三十二歳の周防の母親なら、どんなに若くても五十歳くらいにはなっているはずだ。 「だって、どう見たって……」 「だよな。でも、玲のとこのおばさんだって似たようなもんだぜ」  絶対、四十五歳には見えないと言って、拓馬が肩をすくめる。そうなのか。玲にはよくわからないが、そうなのかもしれない。 「とにかく、あの人だけはシンデレラじゃないな」  少し笑って、「何がどうしてそうなったのかは知らないけどな、俺の見た感じでは、この人のシンデレラはおまえだよ」と拓馬は言った。 「玲、ちゃんと目を開けて、よく見てみろ」  びしょ濡れのスーツで髪を乱して立っている、生身の王子を。 「もしかして、最初から『レイ』が誰だか知ってたのか?」  拓馬が周防に聞いた。 「ああ」 「なんで、あんなややこしいことをしたんだよ」  シンデレラ探しなどと大きな騒ぎを起こして、いったい何がしたかったのだと聞く。 「今度こそ、玲を失いたくなかったんだ」
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