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 お兄ちゃんがいなくなる少し前、パパとママが話しているのを私は聞いた。 「もう私、耐えられない。……あの子が何を考えているか分からないの」 パパはそっと、ママを抱きしめてこう言った。 「俺に任せてくれ。知り合いにいい医者がいる。きっと良くなるから」  その時、ママは私がいることに気づいた。膝を折って目を合わせると、私にこう言った。 「お兄ちゃんは心の病気なの。だから、お医者さんのところで治してもらうのよ」 ママは泣いていた。
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