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そして翌日、その翌日と、日々を積み重ねたある日。
一通の手紙が、ポストに入っていた。
「は、る……?」
封筒には、「風間陽」と書かれていた。
苗字が、変わってる……。
当たり前のことなのに、こんなにも俺は傷付いてしまっている。
「読まないと、駄目、だよな。」
あの時と同じように、恐る恐る手紙を読んだ。
「桜介へ。
菅原陽は、風間響さんと結婚しました。
急な報告でごめんなさい。
でも、桜介には祝って欲しいの。
祝福して貰える、かな。
沢山、迷惑かけたし、結婚のことも黙ってた
。でも、桜介の事忘れてたわけじゃないよ。
本当に今までありがとう。」
そう、手紙には記してあった。
もう、会えないってことなのかな。
忘れてたわけじゃないって書いてあるけど、忘れてないけど会いたくないってことなのかもしれない。
どんどん、不安が膨れていく。
しかし、その下の言葉を見て、思考が停止した。
――今日は、月がとっても綺麗だね。
それはそれは、震えた文字だった。
「何だよ、それ……。」
溢れたこの気持ちは、どこに向ければ良いのだろうか。
これは、一生届かない言葉だけど。
「俺……死んでも、いいよ。」
見上げた夜空には、三日月が一つ、ぼんやりと浮かんでいた。
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