第3章、トミエの懺悔

3/3
18人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
トミエさんはこの事件を受けて、長く寝込みました。 自分の軽はずみで、中学生の姉に「森」に住む姉妹のことを漏らしたために、このような悲劇を生んでしまいました。 胸が裂けるような後悔の涙を流し、ようやく起き上がれるようになると、村の村長=「森」の主の強い意向で「森」の中に埋葬された姉の小さな墓を訪れました。 花を手向(たむ)け両手を合わせると、あのとき慈しみながら妹の縮れた髪を洗い、おにぎりを嬉しそうに頬張っていた姉妹の姿が蘇り、また涙が頬を伝わります。 ほ、ほんとうにごめんなさい ……… するとそのとき、頬を撫でるような風を感じました。 豊潤な樹々に覆われ昼間でもやや薄暗い樹々の隙間から、じっと彼女を見つめる視線を感じます。 どうやら白い動物です。 樹々の木漏れ日の中に顔をあらわすと、それは血に染まった白い子羊でした。 彼女は悲鳴をあげました。 しかし、どこかしら澄んだ優しげな眼差しでした…
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!