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第2章、掃除婦トミエの話し
初夏の朝陽が「森」を包んでいました。
白い靄がかかった「森」では、朝を迎える小鳥たちのさまざまなさえずりが響き、風に揺れる樹々がざーと音を立てています。
樹々の隙間からは、白く丸い朝陽の輪が、皆既日食のダイヤモンドリングの瞬きのように光の帯を、あたりを覆う雑草にまで伸ばしていました。
トミエさんは、小学校のクラスでうわさになっている、最近この村に流れ着き「森」に住むようになった姉妹をひと目見ようと、朝早く起きて「森」までやって来ました。
「森」の奥では、ふたりの姉妹の姿が何度か目撃されています。
奇妙な白い動物と一緒にいるところも、目撃されています…
「森」の朝のざわめきの中、樹々の朝露に濡れた葉が時おり頬を撫で、湿った草の匂いがしました。
しばらく奥へ向かって、けもの道のような小路を短い雑草を踏みしめながら進むと、樹々がいくぶん開けた場所に、三角屋根の薄い緑色のテントが張られていました。
小鳥たちのさえずりが激しく、テントの中の会話は聞こえませんでしたが…
うわさでのふたりの姉妹は、姉は黒く長い髪の細身でとても美しい娘ですが、妹は子どものようにとても小柄で、いつも薄茶色の布袋をかぶり顔を隠しているという…
トミエさんは、その対照的な姉妹がテントから出てくるのを、正面の木陰に隠れて待つことにしました。
しばらく振りの「森」は、生命力に漲っていました。
どこか懐かしい匂いもします。
昇り始めた太陽の木漏れ日に、汗をかき始めました。
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