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教師からの評価は下がった。ついでにいくと友人たちから敬遠されるようになった。
子どもたちの一心不乱に鉛筆を動かす姿に、ぼんやりとそんなことを思い出した。
気が付いたらこの「一生懸命さ」を諦めたのは、誰でもない自分だった思う。環境とか、友人とか、教師とかのせいじゃない。
気付かれないように小さくため息をつく。
手の平を広げて、その指の間からサラサラと砂時計の砂が落ちていくようにいろんなものを手放したのは自分自身。
「無気力な自分」を作って、演じて、選んだのは誰でもない自分自身。
高校に入ったら少しは変わると思っていたんだけど。長い間「一生懸命」を諦めていた癖は、細い細い糸になっていつしか俺自身を縛っていて簡単に抜け出せなかった。
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