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肩に違和感。ハッとして顔を上げたら、目の前にはさやかさんが立っていて、細い指三本で俺の右肩を撫でていた。
「ちょっ・・・?」
「動かないで」
あまりに急な出来事なんだけど、短い言葉で、まるで命令かのように言い放たれて俺は従う以外なかった。さやかさんの指が俺の肩のラインを確かめるように何度も何度も往復していく。くすぐったいような気もするが、我慢できる範囲だ。さやかさんの目は至って真剣で、俺の顔なんて一度も見ないで肩を何度も確認していく。
そしてその指はまるで氷の上をスーっとなめらかに滑るように俺の首筋へと這わされていく。
「んっ・・・あっ・・・」
予期せぬ動きに思いがけない声が出て、自分自身でもびっくりする。耳まで赤くなったのが分かったけど、さやかさんは俺の声にも、耳の色の変化にも、何にも恐らく気をとらわれずに、俺の首筋の質感だけを確かめていく。
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