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肉じゃがは得意料理だ。
みりんと醤油で何となく味が整う。野菜の色が鮮やかな方が食欲が刺激される様な気がして、最近は白だしを使っている。
「んー、美味しそうな匂い。今日は何かなぁ」
背中から声がした、と思ったら背中に体温を感じた。うわ、近すぎ。と思ったけど、「肉じゃがです」とメニュー名だけ言って、後ろを振り向かないでいた。
そうしたらさやかさんが俺の肩に顎を乗せてきて、俺の手元の鍋を覗き込む。「美味しそう・・・」と吐息混じりで呟かれて、ゾクッとした。
多分、さやかさんには「異性」としてカウントされていない。俺はあくまでも「先生の子ども」だ。
「台の上を片付けてきてください。あ、台も拭いてくださいね」
「はーい」
さやかさんが一人暮らし用の小さなちゃぶ台の上を片付ける。片付けるというか、上に置いてある細々したものを全部床に移動させただけなんだけど。
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