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「『嫌』というか」
必死なさやかさんが面白くて、ついつい肩が震える。相手は本気で謝ってくれてることは伝わるんだけど、さっきとの様子と違い過ぎるのが俺のツボに入った。すっごく不安そうな瞳に笑ったらいけないと思うんだけど。さやかさんの頭の上にあるはずのない耳が見える。
「びっくり、しました」
「ああ、うん。そうだよね・・・」
子犬が怒られた時みたいにシュンと下を向く。あ、可愛い。
「でもそれだけ一生懸命に描いてるってのは伝わりました」
「嫌、じゃなかった・・・?」
「まあ・・・」
びっくりはしたけど。
それ以上にクラスであんまり喋らない無口キャラというか、無愛想というか、無気力というか。そんな俺に積極的に触れてくる女の子なんていないからぶっちゃけドキドキした。
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