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「あの、図々しいとは思うんだけど」
さやかさんがすごく申し訳なさそうな顔をして俺の方を見てきた。
「体に触ったこと、田中先生には内緒にしてくれる・・・?」
「・・・?」
言われた言葉の意味が分からなくて、無言でさやかさんを見つめた。本当に犬みたいだ。不安そうな瞳が揺れている。
「『田中先生』・・・?」
「あ、お父さんね!」
なるほど。さやかさんからみた父は「田中先生」だ。
「分かりましたけど・・・この教室の生徒さん?」
「私は〇〇大学の学生で、田中先生・・・えと、田中くんのお父さんは私の図画工作科教育の担当の先生」
子どもたちと触れ合うのに慣れるために時々こうして父の絵画教室のボランティアをしているらしい。
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