気まぐれ

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「分かりました」  父の絵画教室のボランティアをしてもらっている手前、そんな黙っていることくらい何でもないことだった。むしろ、あんな小学生軍団相手にしてもらってありがたい。 「二人だけの内緒ですね」  そんな小学生みたいなことを小さい声で彼女に言ってみた。ただの気まぐれだった。あの小学生軍団の勢いにのまれて、そんな子どもじみたことを言ってみた。  するとさやかさんはクスクス笑いながら小指を俺の前に差し出してきた。いつもなら絶対にそんなことしないけど、気まぐれに自分の小指を絡ませてみた。そしてさやかさんの歌う指切りげんまんの歌に合わせて、腕を動かしてみた。  全部全部、ただの気まぐれだった。
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