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高校まで電車で通っている。高校の帰り道。流れる窓の外の景色を眺めながら、「面倒くさい」と少しだけ思ってみた。本当はちょっと浮足立っている自覚はあったけど、得意の「気怠げ」を演じてみる。そうしたら少し落ち着くような気がした。
学校帰りにさやかさんの最寄り駅に寄る。
父に頼まれたお使いだ。ボランティアに来てくれたときに何か、大切なプリントの入ったファイルを忘れていったらしい。大学で会えればいいんだろうけど、時間割の関係でさやかさんと父は会わない、らしい。
父が電話で連絡して、とにかく大事なものだったからバイト帰りのさやかさんと駅で待ち合わせ。
駅と時間、待ち合わせ場所を父とさやかさんが決めてくれた。
改札前の自動販売機の前待ち合わせ。
一応さやかさんの許可をもらって父から電話番号だけ教えてもらう。もしも駅で会えなかったときのために。LINEでのやりとりに慣れている俺としては、何というか、電話番号だけって心許ない。
定期券の範囲の駅。
それだけの理由で頼まれた、だけだ。
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