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さやかさんの言葉に頷く。噛んでてよかったのにというクスクス笑いのさやかさんの言葉に言い訳みたいに小さな声で呟いた。
「一応・・・年上の人の前なんで」
「あははなるほど。そうだ私、先輩だ」
「はい」
制服姿の俺を見て、ケラケラ楽しそうに「やーい高校生」とふざけるみたいに言われた。クラスの女子から少し敬遠されている身としては、こんなふうにからかわれるのは新鮮な体験だ。少し嬉しい、というか、くすぐったい。嫌な気持ちはしない。
「って、ごめんね。学校帰りに」
「いえ父に頼まれただけなんで」
リュックの中から封筒に入れたファイルを取り出す。中身を確認してからさやかさんが「よかったぁ」と本当に安心したような声を出した。
「もうね、本当にどこやったんだと思って家中大捜索したの!」
「あ、それは・・・」
何かすみません、と軽く頭を下げる。
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