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「ね、時間ある?」
さやかさんがまっすぐ俺の方を見た。学校終わり、あとは帰るだけの俺に門限は特にない。
「大丈夫ですけど」
「よかった!ちょっと家に寄ってくれる?クレヨン渡すから」
家。
父の話だとさやかさんは女子大生。
しかも一人暮らしの。
「あー・・・」
一回考えるけど、家に寄ってクレヨン受け取るだけなら大丈夫だと判断した。というか、クレヨン忘れたことでショック受けまくりがこちらまで伝わってくるようなさやかさんの頼みを断れないってのもある。
「じゃあ」
「本当にいいんですか」と聞くと、さやかさんが急に真顔になって俺の方を見て小さい声で囁いてきた。
「田中くん・・・実はね」
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