隙間

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 ちょっと周りを見渡したけど、適当な皿は見当たらない。しかしよく見ると白い小さなまな板の下に陶器の平皿が隠れているのを発見した。スポンジに洗剤をつけて軽く洗っていく。ふきん・・・と思ったけど、どれがふきんなのか分からず、その辺にあったポケットティッシュを2枚取って皿の水分を拭き取る。 「何かすみません・・・」  いつの間にか近くに来ていたさやかさんに謝られる。年上なんだけどしょぼんとしていて、ちょっと可愛らしい。冷凍庫からさっき買った冷凍おにぎりの袋を出す。袋を開けて中身を確認する。全部で8個。 「いや、俺が腹減ってるんで」  あくまで「俺のため」。  このスタンスは変えない。 「何個食べます?」 「えっと・・・1個」  控えめにさやかさんが人差し指で1を表してくれる。その様子を見ながら、ついつい普段は女子に絶対しないけど、いじりたくなってきた。 「さっきあんなに鳴ったのに、1個で大丈夫ですか?」 「え?」
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