71人が本棚に入れています
本棚に追加
/49ページ
さやかさんは少し寝癖のついたダークブラウンの髪をそのへんにあったシュシュで軽く結ぶ。その動作のせいで少しゆるいTシャツから肌色が覗いた気がして、思わず目をそらして緑茶をすする。
「ね、肉じゃがって田中先生から?」
「あ、・・・まあ」
嘘だ。
勝手に家で肉じゃがを大量に作って、「作り過ぎたからさやかさんとこに持っていく」と言い訳みたいに自分に言い聞かせて、勝手に持ってきた。でもさやかさんには「親に言われて持ってきた」みたいになっている。
「田中先生」は俺の父親を指す。
さやかさんは俺の父親の教え子だ。
最初のコメントを投稿しよう!