気まぐれ

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 軽く会釈したことでちょっと小学生たちが和らいだ。「一応挨拶もできる人間」として認識されたようだ。  昔からそうだ。  目つきが悪いとか態度が悪いとかよく評されていた。別にそういう訳じゃないんだけど、何が悪いのかいつもそういう印象ばかり人に与えてきた。それを訂正する気もないし変える気もない。だから最低限の関わりと付き合いで学校生活を送ってきた。 「ほらほら、じゃあ始めるよ」  父の声で我に返る。指示された真ん中の丸椅子に座る。周りには小学生たち。ジーッと見つめられて居心地が悪い。体温の高い子どもたちに囲まれているからだろうか、言われた通りに着てきた長袖シャツのせいだろうか。とにかく暑い。 「お兄さんが座ったね。服ってどうなってる?」 「何かシワが寄ってる」 「どの辺が多い?」 「えっとぉ、この辺・・・」  利発そうな小学生男児が俺の腹辺りを指さした。座っているせいで確かに布が余ってシワが多く寄っている。 「そうだね。じゃあレベルを上げるよ?」
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